団体プロフィール
長野式治療法に関心をお寄せ下さり感謝です。
長野式治療法は、故長野潔先生が東洋医学と西洋医学の融合を試み、体系立てられた非常に効果のあるユニークな治療法です。
長野式研究会は、この長野式治療法を広く知って頂くために、長野式に関して、初めて発足した研究会です。
また、地方の名人として終わろうとしていた長野潔先生の治療法を発見し、長野式治療法を中心に、その独特の治療法が「キー子スタイル」として世界的にも有名な、長野式治療法の第一人者である松本岐子先生についても紹介していきます。
このホームページでは、長野式治療法やそれに関連する講座・セミナーなど、長野式について様々な情報をお送りしたいと思います。現在、長野式を冠している会、あるいは教えている会や共に学び合うグループ・ホームページなどが多くあります。
どうぞ、長野式との有意義な出会いがありますことをお祈りしています。
不思議なご縁で、松本岐子さんが、長野潔先生を私に紹介下さり、長野潔先生の2冊の著書『鍼灸臨床わが三十年の軌跡』と『鍼灸臨床新治療法の探究』の校正に携わることになりました。
その校正が長引く中、長野潔先生の臨床での体験を、『医道の日本』誌1994年9月号に『長野式見聞記:人生を変えた「帯脉」』として投稿したところ、多くの反響を呼び、読者から、是非、長野式治療法に関しての講座を開いて欲しいとの要望がありました。
そこで、長野潔先生に、先生の治療法を『長野式治療法』と名付け、長野式治療法の研究会をつくり、講座を開いても宜しいかとお願いしたところ、快諾下さいましたので、会の名称を『長野式研究会』として、大宮で‘基礎講座’を始めることになりました。
《特 徴》
※以下は、村上からみたものです。 各項目の詳細は、折に触れて他のページで書き加えていきたいと思います。 『医道の日本』社刊行のビデオや各セミナーのビデオをご覧になりますと、その特徴がより理解頂けると思います。
(1) 東西両医学の融合
長野先生は、人間の身体は東洋も西洋もないと言われ、お若い頃から東洋医学と西洋医学の融合を試みてこられました。『鍼灸臨床わが三十年の軌跡』の始めの、松本岐子さんが書かれた「我が師匠」の中に
◎古典を学んだ人
◎西洋医学の知識があり、東西医学の両側より患者を診断できる人
…古典をもっと理論的に、科学的に理解できないものか…と書いてあるように、まさにそれが体系化されたのが『長野式治療法』です。
長野潔先生の2冊の著書には、随所に東西両医学の融合について書かれていますので、是非、ご一読下さい。
(2) 経絡・経穴、あるいは脉診に西洋医学的意義の付加
特徴の(1)にあるように、東西両医学の橋渡しをするために、東洋医学での各経穴や経絡が、西洋医学ではどこにどの様に関係があるのかを臨床で調べ、それらに西洋医学的な意義を与えられました。
例えば、「洪脉」は心臓病やリウマチに、「右関門」はオッディ筋に、あるいは、「脾経」はリンパに関係があるなどです。また、「照海」「兪府」は副腎処置と言われ、副腎の治療が必要ならば、この処置を行えばよいということになります。
このように、経穴や経絡などに西洋医学的な考え方を取り入れたことが、長野式治療法が受け入れ易い理由の一つなのではと思われます。今では、それを松本岐子さんが更に発展させ、古典や西洋医学だけではなく、様々な分野を統合して、新たな理論を展開しています。
(3) 脉診…特に脉状診と長野潔先生独自の脉診
長野式治療法の大きな特徴の一つが‘脉診’です。
先生は、もちろん‘脉差診’もされましたが、「‘脉状診’は、過去の病歴を語り、現在の患者の状態を示し、治療効果を判断し、予後が推定できるものである」、「‘脉状診’が変化しないと、症状が変化しない」と言われ、‘脉状診’の重要さを説かれました。
『鍼灸臨床新治療法の探究』の自序に「…脉診に明け脉診に暮れて会得した…」、あるいは、「脉診に全神経を集中させたために、3年間で10kg痩せた」程に修練され、例えば、婦人科では生理や妊娠のみならず、流産や中絶までも脉診で分かるほどの名人芸でした。
また、あとがきにあるように、先生は視力障害があり、診断の手段が大幅に制限され、脉診に頼らざるを得ないことが、更に先生の脉診を進化させることになったのではと推察されます。
(4) バックグラウンド
松本先生のセミナーで治療を見ていると、「ところで主訴は何だっけ?」と言われることが度々あります。
患者さんの訴えている症状よりも、その症状を発現させている本当の原因(バックグラウンド)を治療することに主眼があります。『医道の日本』社刊のビデオのなかでも、五十肩様の痛みが、甘い物の取りすぎが原因であり、肩周囲の治療よりも、糖代謝異常(これがバックグラウンド)の治療により改善に向かう症例があります。バックグラウンドを治療すると、主訴ばかりでなく、それが原因の様々な随伴症状が改善していきます。
長野式治療法を取り入れて治療をされている鍼灸師の方々が、「長野式治療法を学んだお陰で、治る治らないは別として、どんな患者さんがきても驚かなくなった」と異口同音に言われます。これも、主訴に関係なく、まず所見をとり、そのバックグラウンドを推測し、治療すれば、それが肩痛や腰痛、背部痛であっても処置は同じになります。いわゆる本治法になりますが、そのバックグラウンドが、糖代謝異常、下垂など長野式治療法独特の捉え方となっています。
(5) 多様な処置法
長野式治療法では、胃の気処置・下垂処置・副腎処置・オ血処置・消炎処置・血糖調整処置……などと、数十にも余る様々な処置法があります。(7)で説明しているように、バックグラウンドの治療の基になる基本的処置や、甲状腺やリウマチなど様々な特定の疾患に対する処置法などが用意されています。脉診や腹診など、それぞれの所見に対して、あるいは、ある疾患に対しての所見にあう処置法を探し、治療していきます。
長野式治療法を取り入れようとされる方は、まず、これらの処置法を一つずつ臨床に使用されて効果を確認されるとよいと思います。
(6) セット鍼
治療の効果をより良いものとするために、長野式治療法で使用される処置法は、いくつかの経穴を組み合わせて治療する‘セット鍼’となっています。
例えば、「腹部オ血処置」では、オ血のための「中封」と、扁桃のための「尺沢」をセットにして使用します。オ血が溜まると扁桃の弱体化を招くために、オ血の排泄には扁桃を強化すると、「腹部オ血処置」がより効果を現すことになります。
(7) 「基本的処置法」と「特別疾患に対しての処置法」の組み合わせ
長野式治療法では、本治法たる「基本的処置法」と、標治法たる「特別疾患に対しての処置」を組み合わせて治療することが多くあります。
特徴の(4)にあるように、バックグラウンドを「基本的処置法」で治療し、その後、主訴や随伴症状、病名などに対しての「特別疾患に対しての処置」をします。例えば、‘扁桃’、‘オ血’、‘副腎’など、必要に応じて「基本的処置」をして、その後、膀胱炎、胆嚢炎、緑内障などの特別な疾患に対して配穴された処置法を加えて治療をします。もちろん、「基本的処置法」だけで改善していくこともあります。
(8) 臨床に取り入れ易い処置法
処置法の中には、初めての人にも、明日からの臨床にすぐ使えるばかりでなく、学んだ事をすぐに他の人に教えても、教えられた人がまたすぐに実地臨床に使えるという再現性に富んだものが多くあります。
当方の‘基礎講座’を終了された方でも、すぐに、ご自身で長野式の研究会を主宰したり、他の研究会の講師として講義をするなど、非常に取り組み易い所があり、また、他の治療法をされている方でも、一部に長野式処置法を取り入れることができる導入のし易さがあります。
これが、長野式治療法が急速に広がった理由の一つと思われます。
しかし、一方、上記のように、長野潔先生の脉診は神業であり、名人とも称されるように奥が非常に深く、鍼の治療技術も職人芸であり、また、「キー子スタイル」と呼ばれる松本岐子先生の治療法も、バックグラウンドを見極める非常に高度な考えが要求され、古典の解釈も次々に進化して、学べば学ぶほど難しく興味の尽きない治療法です。
(9) 処置後の効果の速やかなる確認
長野潔先生にしても、松本岐子先生にしても、一つの処置を行う毎に、その処置法のターゲットとしている所見や愁訴が改善、消失しているか、効果を必ず確認します。それにより、患者さんも治療の効果を実感することができ、患者さん主体の治療となります。
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